Worlds end ～セミリタイアな日々～

「残業しまくりの会社員生活から、残業ゼロのセミリタイア生活へ」でも書いたように、23年間の会社員生活は、過労死してもおかしくないほど働きづめだった。

拘束時間だけじゃなく、内容的にも高いレベルが要求され続ける、きわめて過酷な労働環境だった。

それでもなんとか耐えられたのは、私のポテンシャルの高さ…と言いたいところだが、それなりにもらっていた報酬で、壊れそうになる自分をなんとか慰めていた、というのが実情だ。



数年ごとの転勤により、いろいろな職場で働いてきたが、どの職場でもストレスMAX→倒れる寸前な状態になることが何度かあった。

そんなとき、よく起きた現象が、ストレス臭だ。


ふとした瞬間に、どこかで嗅いだことのあるにおいがする。

ホコリっぽい、古くさい感じのにおいだ。

「なんだ？」と思って周りを見渡すも、においの元になりそうなものは見当たらない。

「もしかして…オレ？」と自覚しても、においは一瞬で消えるので、体のどこから発しているのかわからない。

「不潔なのか？」と思い、風呂で入念に洗うも、さっぱりして体をふき始めたそばから、サッと漂ってきたりする。

このにおいの原因は何なのか、当初は本当にわからなくて、困惑するばかりだった。



ある日、健康バラエティ番組を見ていたら、某タレントが「中年になったら加齢臭がしてきた」と告白していた。

それが、古本のにおいにそっくりだという。

それを見て、私も驚いた。

あのホコリっぽい、古くさい感じのにおいは、まさに古本のにおいだと。

ということは…まさか加齢臭？


でも当時、私はまだ30代。

加齢臭が漂うには、ちょっと早い。

そこでいろいろ調べたところ、「ストレスでも加齢臭は発生する」ということがわかった。

そう考えると、いろいろ辻褄はあう。

確かに、仕事が大変でストレス過多なときに、あの古本のにおいがしてくるのだ。

そして、仕事が一段落すると、そのにおいも収束する。

なるほど、あれはストレス臭だったのか。



会社員時代、何度も私を襲った、古本のにおい。

3年前にセミリタイアしてから、あのにおいを嗅いだことは一度もない。

やっぱりストレスフリーなんだなあ。

古本のにおいは、古本からするだけで十分だ。

もしも今後また、私の体からあのにおいがしたなら…それは正真正銘の加齢臭。

こればっかりは人間の宿命だから、どうしようもないよね。

甘んじて、受け入れることにするわ。

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