早期リタイア者のバイブルと言っても過言ではない、群ようこの「れんげ荘」シリーズ。

その第3弾、「ネコと昼寝 れんげ荘物語」が出たので、さっそく読んでみた。



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【「れんげ荘」シリーズに関する記事】


第3弾ともなれば、主人公はそれなりに成長しているもの。

しかし、キョウコも、お隣のクマガイさんもチユキさんも、時が止まっているかのごとく、ゆる~い生活を続けている。

長袖のTシャツのうちの一枚が脱げるようになった。次にレギンスを脱ぎ、もう一枚着ている長袖Tシャツが脱げれば、心地よい季節となるのだ。脱皮と同じだ。昆虫は脱皮して成虫となっていくが、
「私はただ年を取るだけよね」
キョウコはまた苦笑した。それでも勤めを続けているよりは、今のほうがはるかにましだった。
(5ページ)

安定の変わっていない感だ。


見回りの新米警官との会話も、同じ側の人間にとっては共感しまくり。

「ご職業は」
またきたとキョウコはぐっと言葉に詰まった。
「無職です」
「はあ? あ、ああ、無職ですか……。はー、それは何か理由があるんですか」
彼は素直に疑問を持った目で、キョウコを見た。
「ええ、それはいろいろと」
「あのう、でも生活はどのように……」
「貯金を崩しているんです」
「ああ、貯金をねえ、はああ、そうか、それだったら働かなくてもねえ、うーん、ああ、なるほど」
(15ページ)

貯金生活に入って何年もたつはずなのに、いまだに答えに詰まるのは、答えたところで理解してもらえないから。

何も悪いことをしていないのに、この後ろめたさは、一体なんなんでしょうね。

世の中のイメージというのは、恐ろしいものだ。以前勤めていた、社会的に名前が通っている会社で働いているというと、実際は会社の人間関係や仕事で疲弊していたのに、優秀で溌剌とした女性のように誤解される。そのときに比べれば、収入はゼロになったにせよ、はるかに体調もよくなって、精神的には満足しているのに、気の毒な人生を送っているかのように思われる。社会というか人が無意識のうちに決めている、年齢と仕事とか、住居の広さとか、それからずれていると、不幸だといわれる。人間の心は昔のまま進歩もなく、枠に入れたり、枠に入っていると安心といった感覚のままなのだ。
(106ページ)

ここまで早期リタイア者の心を活写する群ようこは、本当にすごいわ。


ただキョウコも、このまま活動的でない人生を過ごすことに、疑問を感じていないわけではない。

学生時代からの友だちで、高校の先生のマユちゃんは、
「パートタイムで働けば」
といったけれど、働く気はない。(中略)学校を卒業して会社に就職し、会社や同僚、男女の裏も表も知ってしまい、心底疲弊してしまったので、働くのはいやなのだ。(中略)働く気になれるのは、一日、三時間程度だ。そんな短時間労働が許されるのかはわからないが、一日、二千円を稼ぐために働くのであれば、そうしないで本を読んでいたい。
「その少ない賃金でも、塵も積もれば山となるのである」
とマユちゃんはいうのだが、その塵にも山にもキョウコは関心がなくなっていたのだ。
(30ページ)

このあたり、すごくよくわかる。

お金はあったほうがいいものだけど、その優先順位はもうそれほど高くはないのよ。

確かに、塵を稼ぐために時間を費やすぐらいなら、本を読んでいた方がずっといい。


このキョウコの迷いに対し、人生の先輩クマガイさんの助言は、とても頼りになる。

「働く必要はないんじゃないの。ちゃんと計画してお金を遣っているんでしょう」
「はい、今のところ枠内に収まっています」
「じゃあ、お友だちの意見はありがたく受け止めておいて、今のままでいいんじゃない。働く気がないのに働くのはよくないでしょ。本当に働きたい人の場所を奪ってしまうし」
(44ページ)
「会社をやめた直後は、テンションが上がっているから、そのまま突っ走るけど、少し落ち着くとその当たり前になった生活が、不安になってくるのかもしれないわね」

「不安を突き詰めて悩みすぎると、体の具合が悪くなったりするし、不安になったらその考えをとりあえず受け止めて、深呼吸を二、三回するか、外を歩いたらなんとかなるものよ。もし何かあったとしても、周囲の人が手を差し伸べてくれるわよ」
(46ページ)
「自分でもう結論は出しているんじゃない。ただ自信が持てないだけでしょ」
「そうかもしれません」
「手持ちの資金がゼロになったわけでもないんだし、もしそうなったとしても、生きる術なんてたくさんあるわよ。(中略)あなたは大丈夫。自信を持って」
(47-48ページ)

すごいわ、哲人クマガイさん。

うちの隣りに住んでほしいぐらいだ。


いろいろ悩み続けたキョウコは、ついに悟りの境地へ。

今の生活になってよかったことを考えてみた。寝付き、寝覚めがとてもよくなった。体調がよくなった。妙な汗をかかなくなった。目の下のくまがなくなり、老けた感じが薄れた。それによる仕事相手の印象をよくするための化粧をしなくてよくなった。服装や靴も窮屈なのを身につけなくてよくなった。会社の嫌な奴らと一生、付き合わなくてよくなった。母と顔をつきあわさなくてよくなった。次から次へと出てきた。
(129ページ)

これは、早期リタイアした社会的マイノリティだけが知る、人生の真実だ。

このことに気づいたキョウコに、祝福の拍手を捧げたい。

セミリタイアブログでもやれば、人気ブロガーになること間違いなしだ。



本作では、タイトルのとおり、ネコとキョウコのほほえましい交流が描かれたり、自由な旅人コナツさんが人生の岐路に立たされたり、新たなエピソードも盛りだくさん。

しかし、最大の事件は、巻末に待っていた。

詳細には触れないが、これで「れんげ荘」シリーズ第4弾の発売が確定した。

早く続きが読みたいものだ。


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