先日、珍しく朝のラッシュアワーに、地下鉄に乗ることがあった。

そのとき起きた、思い返すのもおぞましい出来事を、今日は勇気をふりしぼって書いてみたい。



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とある平日の朝、地下鉄南北線の終点である、真駒内駅まで行くことになった。

真駒内駅ホームの階段位置を確認すると、もっともエスカレーターに近いのは、1番車両らしい。

そこで、1番の表示のある乗降口に並び、すべりこんできた車両に乗り込んだ。

まだ通勤のピークではないのか、車内はそれほど混雑しておらず、空いている席に座らせてもらった。

スマホを取りだし、メールやスケジュールなどを確認して、時間をすごす。

その後の駅でも、降りていく客が多く、徐々に空席が増えていった。



数駅をすぎたころ、ふと顔を上げると、向かい側の窓に貼ってあるポスターが目に飛び込んできた。

お母さんと子どものかわいいイラストだ。

なにげなく目にしたそのポスターから目を離したあと、私は絵に描いたような二度見をしてしまった。


そのポスターとは、コレ。

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サーッ………(←血のひく音)



女性と子どもの安心車両とは、札幌市営地下鉄が平成20年から導入している、いわゆる女性専用車両のこと。

私もその存在は知っていたけど、実際に目にするのは初めてだ。

セミリタイアすると、ラッシュ時間はおろか地下鉄に乗ること自体ほとんどないので、そんな車両があることをすっかり忘れていた。

警告ポスターや音声アナウンスがあったのかもしれないが、私の目や耳はまったく感知せず。

そして、なんの意識もなく乗ったのが、この男子禁制車両だったのだ。



自分の立場を知った上で周囲を見渡すと、確かに女性しか目に入らず、男は私のみ

一瞬にして暗転した世界で、私はうつむきながらも、冷たい視線を探知すべく五感を研ぎ澄ませた。

あからさまににらみつけるような人はいなかったけど、避けられている雰囲気は間違いなくある。

これ、なんていう針のむしろ


真駒内駅まで、あと数駅。

私は、どうするべきかを考えた。

次の駅で隣の車両に移動するのが一番いい、ってのはわかっている。

でも、何がどうなっているのか、体が金縛りでもあったかのように動かない。

人は、恥ずかしくなると、全身が固まってしまうようだ。


結局私は、終点までそのまま、完全アウェイな車両に乗り続けることにした。

自分の置かれている状況に気づかない、のんきでおっちょこちょいな中年おやじになりきろう、と決めたのだ。

あとは、ただひたすら下を向き、寝たふりを続ける。

そして真駒内駅に着くと、周りの女性全員が降りていくのを見送ってから、何もなかったかのように立ち上がり、ゆっくりとした動作でホームに降り立った。

寝起きのような表情のまま、エスカレーターに乗り、改札を抜け、駅を出る。

「この人、女性専用車両に乗ってきたんです!」と腕をつかまれることもなく、その場を切りぬけることができた。

はー、よかったー。



体が密着するような混み具合だったら、こんな悠長なことはできなかったはず。

普通に座れる程度だったから、周りの女性たちも見逃してくれたんだろう。

「ときどきいるのよね、こういうマヌケなおっさん」という目で見られていたんだろうね、きっと。

あの時はシラを切り続けたので、この場をつかって謝罪させていただきます。

どうもすみませんでした。



しかし、年に1回乗るか乗らないかなので、この教訓を次回に活かせるかどうか、自信はまったくない。

現状の告知方法は、少なくともこの私には、まったく効果がなかった。

だから、どうしても私を乗せたくないのなら、もっと強力な防止策を打っていただきたい。

乗降口に性別センサーをつけて、男が乗ろうとしたら、「ブー!男はあっち行け!」と警告するとか。

専用車両内に女性車掌を配備して、男が乗ってきたら、「これはお前が乗る車両じゃない!」と蹴りだすとか。

せめて、女性専用車両の停車するホームの照明だけ、真っ赤な色に変えてほしい。

並ぼうとしたホームがどぎつい血の色に染まっていたら、いかに鈍感な私でも、「何かおかしい」と思うはずだ。



まあ、こんなセミリタ男のたわごとはともかく、生きにくい世の中になったなあ…とは思う。

男にとっても、「痴漢冤罪を防止する」という意味があるので、否定するつもりはないんだけどね。

犯罪を犯したわけでもないのに、ものすごく居心地の悪い思いをしたせいで、ついついブラックTaoが顔を出してしまいました。


女性専用車両の社会学
女性専用車両の社会学堀井 光俊

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