車を手放してからの交通手段は、自転車か徒歩が基本。
市電もバスも地下鉄も、数えるほどしか利用していない。
そんな私がタクシーに乗るなんてそうそうないことなのだが、先日訳あって、ワンメーター分だけ乗車した。
今日の記事は、その時の話。
セミリタイア前なら、仕事の移動でタクシーに乗る機会もよくあった。
ビジネス社交は得意でも、本来は内向的で人見知りな人間だから、運転手から話しかけられても、適当に受け流すのが普通だった。
おしゃべり好きな人でも、こちらが「ええ」とか「まあ」とか気のない返事を続けていれば、空気を読んでそのうちに黙りこむものだ。
あとは、降りるまで静かな車内になるのだが、私にはそれが心地よかった。
そして、先日の話。
このタクシーの運転手も話好きなおじさんで、走り出すやいなや、私に語りかけてきた。
運転手(以下、運):いやー、しっかしひどい路面だねー。
以前の私なら、のらりくらりな対応になるところだが、この日は違った。
つい、話にのってしまったのだ。
私:そうですねー。つるつるでこわいですよねー。全然スピード出せませんよねー。
悪路に関する世間話が続いたあと、おじさんはラジオのニュースで流れていたトランプ問題へと、話題を切り替えた。
運:しかし、トランプが大統領になったら、どうなっちゃうんだろうねー。
私:うーん、なってみないとわかんないんじゃないですか?
運:アメリカ人も、今頃後悔してんじゃないのかねー。
私:今ごろ後悔しても、もう遅いですけどねー。
運:あのトランプって男、土日だけホワイトハウスからトランプタワーに移るらしいんだけど、警備費用が年3億円かかるらしいよ。
私:へー。すごいですねー。
運:そんなのも税金で払うんじゃ大変だよねー。
私:お金持ちだから、自分で払うんじゃないですか?
運:いやー、金持ちってケチだから、自分じゃ出さないでしょ。
私:そうですねー。
まったくたわいもない話に聞こえるかもしれない。
しかし、タクシー無言居士の私が、運ちゃん相手にこんなに話すなんて、まさに一大事なのよ。
しかも降車後には、ちょっとした充実感まで感じちゃったりして。
セミリタイアして他人と接する機会が激減したから、もしかして会話に飢えているのかしら?
たまに誰かと飲みに行っても、以前は聞き役になってばかりいたのに、この頃は自分がしゃべる時間が増えた気がする。
孤独に強いと思っていたけど、案外、そうでもないのかもしれない。
そんなことをふと感じた、師走のひとときでした。
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